-Image province-> :::イメプロ:::


2004年 富士山登山レポート
富士山登ってきました

■ ノリから全てが始まった
 人生のうち一度はやっておきたいことのひとつにも数えられるであろう富士山登山。
 友人たちで「夏休みに富士山を登って日の出を見よう」という話が前々からでてました。 以前、地元の山を登ったときに、そのお誘いを断わったことがありまして、 そして学生としての夏休みも今年で最後。この機会を逃せば次は無いということで、 登山に参加することにしました。もうノリで。

 しかしながらメンバー全員の予定の合う日が限られているからといって、 計画したのが出発の前日だったということがちょっと気になります。 あと台風がすごい近いような気がすること。そして全くの無計画。 侍魂と同じですやんこれ。いや、全員富士山初登山という点ではさらに危険なにおいが。

 しかしながらあんまり突然だったので、何が必要なのかさっぱりわからず。 でも今の情報化社会、インターネットを活用すればほとんどの情報が手に入ります。 こういうときのネットはホント便利です。 そこで書かれていた情報を頼りに、準備を進めました。防寒着、雨具に、登山靴・・・。 登山靴は重要ながらどう頑張っても準備できないので、 仕方が無く底が厚めな普段の靴で行くことに。


■ 旅を満喫
 近場のショッピングセンターで夕方に集合。 しかし登山の主催者には前日から連絡がつかず、富士山の空気は軽いそうですが、 その前にここの空気は重たくなるという幸先からすごいスタートに。 でも多少の問題は旅につき物、 揃え切れなかった準備を済ませてとりあえず出発することになりました。

 夜行の車の中は眠くも自然とテンションがあがるのでしょうか、 お昼では絶対口に出せないような、もうぶっ飛んだ話がとびだすわけで。「Mだ」、「奴はどMだ」と連呼。 夜のテンションもあって車の中は爆笑。 レベルUPしたら攻撃力+2、防御力+1、M度+25(でもすでにM度999だから増えない)とか、 「がまんをする」を覚えただとか、頂上まで登ってから、もう一度登りたいと言ったらMペラー(M皇帝)だとか。
 ということで富士山に登る目標「朝日を見る」に加えて、新たに「Mペラーかどうか確かめる」が決定。

 ほかにも道でバーストしたトラックを発見。もしやと思い見ると、ロゴはやっぱり三菱。 うーわー。

 行きは時間が有り余ったので、のんびり向かいつつぶらりと寄り道しました。 通りかかった街の市役所へ行って、お勧めの温泉情報をゲット。 温泉で夜行の疲れを癒すことに。もうこれが「気持ちいいー! 超気持ちいいー!!」。 幼い頃入ったっきりのサウナへ全員で入ったりしたんですが、もう熱い熱い。90度の世界を実感しました。 入浴後は目の前にあったマッサージ機で、登る前から癒し顔している19、20歳の野郎ども。 オッサンへの一歩を踏み入れるどころか、早くもどっぷりと漬かりきってます。

 続いて温泉の受付で聞いたお勧めのおそば屋さんで昼食をとることに。そのおそば屋さんは、 田舎の民家が立ち並ぶところにひっそりとありました。旅行者はまず調べないと気づかないほどの、 まさに知る人ぞ知るお店。中に入ると、いかにも職人といったおじさんが出迎えてくれました。 メニューもおそばが数種類のみと言ったこだわり。もちろん激旨の手打ちおそばを早々に平らげ、 窓から見える景色に日本の和を感じました。まさに「和」の空間。「(田舎にある)実家と同じ雰囲気がする」、 「和むって『和』って書くんだよね。」という友人の言葉が染みます。

 まさに「旅」を満喫した前半。このとき一瞬頭によぎりました。
 「ちょっとうまく行き過ぎて、後で怖くない?」なんて。

 まさかここまで裏表がハッキリするなんて・・・。

■ 富士山到着、いざ
 そのまま車で富士山5合目に到着して夜は7時過ぎ。 当初休む予定だった気がするんですが、もうこのやる気は止まりません。 休むまもなく登山ルックへと着替えます。一人の格好がコートに手提げ袋だったんですが、気にすることもありません。 たとえ僕以外の全員が懐中電灯持参してなくても、売店に売っていたので無事OK。 一緒に金剛棒なる杖も記念代わりに買って、 いざ登山へ!

 予想通りか予想以上か、たとえ多くの登山者が訪れる富士山道と言えども、岩はむき出し。 場所によっては岩をつかんで足場を探って登る感じでした。なかなか険しいのか、これでも登山道では楽なほうなのか。 今回がはじめての登山である僕には知る由はありません。しかし山を登っているという実感があります。

 6合目、7合目をゆっくりと足を進めます。はじめ霧だった空模様も晴れてきて、眼下に広がる夜景、 見上げれば満天の星空。
 「すげーなー・・・・。」
 「ここまで星見たこと無い。」
 思わずとも口に出るほどホントに綺麗です。疲れながらも休憩を入れながら一歩一歩。鳥居をくぐり、 ついに山頂へ到着しました。


■ 山頂からの勝負
 山頂へ到着したのは午前2時過ぎ。すでに何人か到着していました。 明らかに日の出まで時間が早いので、どこか岩影で休むことに。

 ただいつの間にか表情を変えた富士山。

 ものすごい霧、そして風が強い・・・。立つのも辛いくらい思い切り強い。

 格好良い男がくると、富士山は化粧が出来てないと恥ずかしがって雲で隠すというじゃないですか。あれですよ。 単なる野郎共がそんなこと言うもんですから、というかお前らなんぞに私の姿を見せてやるものかといったところで でしょうか。
 しかしながら別に富士山山頂の寒さをなめてた訳ではないのですが、いや、これはなめてたのでしょうか。 スノボで出かけるときのような雪山並の装備で挑んだんですが、風が服を突き抜けます。体感温度は明らかに氷点下。 全く暖かさを残しません。みんなで寄り添えば暖かいとか、そういうのはもう無しの世界。 体が勝手に震えだして体温を上げているのが、ここまで分かるとは思いませんでした。 人間の体ってその辺りよく出来てます。

 そして

 「なんか気持ち悪い・・・。」

 これって、やっぱり、高山病? そう思った頃にはリバース。 意識的に深呼吸するも、こうなってしまえば素人の僕にはもう成す術なし。

寒いわ気持ち悪いわ、どうしようというところに、外人さんが僕の元へなにやら差し出しました。


 手にはなにやら直径1.5cmくらいな平べったいちょっと大き目の錠剤。

 ジェスチャーは明らかに『これ飲みなよ』。

 「え、ちょ、何コレ? ヤク?? 山頂までに来てヤクですか??!!


 何の薬か分かりませんし、言葉通じません。それ以前に寝不足と酸素不足な僕の頭に考える力もありません。

 もうそれ、飲むしか。

まさか日本の富士山山頂で高山病発症している人を見て、ヤクを差し出すほどの人間もいないでしょう。 意識がかなり無かったのでよく覚えていないのですが、その後だいぶと楽にしていたそうです。ありがとうございます。

 そんなこんなで数時間を過ごし、空が徐々に明るくなってきました。 日の出の瞬間です。 富士山に登るのがどれだけ辛くても、この美しさで吹き飛んでしまうという話もあります。


富士山山頂からのご来光はこちら




 白い。白すぎるよ。


 だってこのご来光、

 HTMLだけで描けてるよ。


 たとえ気持ち悪くとも、この朝日さえ見れれば、来た価値はあった。その思いを胸に、 日の出を待ちました。確かに準備も悪かった、富士山なめてました、反省します。でも、正直コレは辛い。 絶対そういう天気の悪い日もあります。たまたまタイミングが悪かっただけのことなのですが。 でもこんな、HTMLだけで表現できる景色は凹みます。

 そういえば中学生の修学旅行でも富士山(5合目まで)に行きました。そのときもこのような霧と雲に 覆われて、景色が真っ白でした。  確かそのとき先生はおっしゃいました。

 「今日は普通じゃない珍しい富士山も見れて、良い経験だろう」

 と。

 先生、僕そろそろ普通の富士山が見たかったです。


■ 下山、そして・・・
 もうこれ以上山頂にとどまっても辛いだけなので下山することに。でも富士山、 そう簡単には僕らを返してくれるわけもありません。 太陽が照らないので寒さは変わらず、強風に加えて雨さえ降り出す始末。 雨具を装備する余裕もなくみんなずぶ濡れ。もうなりふりかまわずどんどん下山。 足を止めて休憩すると、いつの間にか意識が飛んでます。 普通に考えるとろくに睡眠をとらず、食事も昨晩とったっきり(食欲沸くはずもないですが)なので 当然といえば当然かもしれませんが。アレは高山病だったのか、それとも単に寒くて体調を崩しただけなのか、 どっちか分からないです。
 6合目に差し掛かると青空が見えました。 もっと上で晴れろよとみんなで突っ込みつつ、車が停めてある5合目に帰還。 着いた頃にはみんなボロボロ。そのまま車に乗り込んで帰り道に向かうことに。

 しかし帰り道すらすんなり終えることが出来ませんでした。

 高山病から開放されたら、次は車酔いでグロッキー。
 疲れている体を癒そうとナビで探し当てた温泉は、人一人の姿も見えず、明らかに廃墟のオーラを放ってました。 仕方が無いので早々に家路に着こうと、帰りはフェリーを利用することにして港へ向かいました。  数時間かけて車を走らせ、港へ向かって進んでいきます。


 ただ・・・。

 気になってたのですが。

 いや、多分みんな同じこと気になっていたと思うんですが。



 「これ、、、間に合わなくない?(時間)」

 残る時間は1時間。距離は50km。道はありがちな片側1車線が続く市街地の道。 もし間に合わなければ、今進む道を引き返すことになります。というか普通間に合いません。 冷静な判断が取れれば、早い段階で諦めるのですが、富士山のテンションでおかしくなってたのでしょうか。

 「間に合う、間に合うって!」
 「飛ばせば何とかなるかも!」

 なんて。これから先道が広く空いた道に出れば、間に合わない時間でもありません。 もう日の出が見れなかった時点で目的達成できなかった僕たちにとって、 このフェリーの時間に間に合うことこそが真の目的だったのだと。

 「間に合わなくても何かあるって!

 しかし時間は無常にも刻々と過ぎていきます。道も相変わらず混んだまま。 やがてもうどう頑張っても間に合わない時間になりました。そして到着。そこには何があるんだろう・・・。



 ・・・・。


 無ぇーよ。

 やっぱり何も無ぇーーよーーーー。

 あるとしたらこの虚脱感ですよ。


 来た道を引き返し、結局陸路で帰ることになりました。途中交通事故直後の場面に出くわし、ボロボロの状態のまま車を 運転している自分たちの、数時間後の姿ではなかろうかとビクビクしながら―――。




 ・・・と、いくらなんでもここまで上手くいかないことは無いかと思うほどの富士登山でございました。

 【行き】
  温泉で友人たちとの裸の付き合い、そば屋で日本の和を感じ、富士登山山頂を目指してともに登り、山頂を制覇。

 【帰り】
  高山病にかかり、極寒の中で日の出は見れず、雨が降り、車に酔い、温泉にも入れず、フェリーに間に合わず。

 帰りの車中で、「これではあまりにオチが無い。ということで

 地元に着いたらそのままカラオケスタート

 どこからこのエネルギーが出たのか分かりませんが、この「達成感の無さ」を補いたかったんでしょう、みんな。


 富士山はやはり侮ってはいけない場所でした。完璧な準備、しっかりとした計画、じっくりととる休養。 山小屋も的確に利用すべきなのでしょう。たとえ人の手が入っているとはいえ、山の厳しさを見せ付けられました。
 富士登山はリピーターが少ないと聞きます。一度登ってハマってしまう方もいれば、 今回のようにひどい結果で終わった初登山で、嫌になってしまう方も少なくは無いんでしょう。 何一つ目標は達成できませんでしたが(奴はMペラーだったそうで、ある意味ひとつ達成した訳ですが 笑)、 山頂にまで登ったという事実は変わりません。そしてこんなところでながら、 苦しんでいた僕にお気遣いしてくださった友人たちに感謝です。正直山頂に登ったことよりも、 助けてもらえたことがいい思い出になりました。本当にプライスレス。

 でも一緒に行った友人は、今回の登山は無かったことにしたいと言ってました。僕も同意見です(笑)。 出来ることならこの辛い記憶を消して、もう一度挑戦したかったですかも。

 果たして、人生のうちまた登る機会は訪れるんでしょうか・・・・。







 富士山頂上付近で唯一撮った、早朝の景色の写真が合ったので載せておきます。




 ・・・・コノヤロウ。